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2017年8月26日(土)@パシフィコ横浜国立大ホール

41組が出場した世界最大級ストリートダンスコンテスト
“JAPAN DANCE DELIGHT VOL.24 FINAL”
優勝はJDD史上初となるKRUMPチーム
“Twiggz Fam”

 

 

世界最高峰のストリートダンスコンテスト
“JAPAN DANCE DELIGHT VOL.24 FINAL”

FINALIST…即ち、その時代時代のシーンの最先端で活躍するチームが、「世界一」の称号を目指し、全身全霊を懸け創り上げた作品で勝負するからこそ、このJDDの歴史・軌跡そのものがこのストリートダンスシーンに大きく影響を与えて来た。そしてJDD VOL.24シリーズの最終章であるこの「FINAL」で躍動したのは “若手世代” だった。また新たな歴史が刻まれることとなったJDD VOL.24 FINALをレポートしていこう。

8/26(土)、会場のパシフィコ横浜国立大ホールには、ODD VOL.32、TDD VOL.18、NDD VOL.6のシティーシリーズ、仙台、広島、札幌、東京、大阪で開催された予選大会、更にはシンガポール、スウェーデン、タイ、ドイツ、マカオで開催された海外シティシリーズを勝ち抜いたチームに前回3位のALL GOOD FUNKを加えた総勢41組(当初42組だったがW.Lockin Crewが棄権したため41組となった)が一挙集結。

今大会注目が集まったジャンルは「LOCKING」。特に昨年3位の「ALL GOOD FUNK」2年連続特別賞の「9stepper’z!!」更には「DOWNTOWNBOUNCE」「F/Y/N」といったベテラン勢が参戦する等、全体的に若手チームが多い今大会の中で多くの視線を集める事となった。また、個性派チームも数多く出場。日本のストリートダンスシーンではマイノリティージャンルと言える「KRUMP」チームは過去最高の2チームが出場。更にBEBOPチームの参戦や、LOCKING+B-BOYINGのようなミックスorフュージョン系ジャンル、そして独創的・実験的なスタイルのチームまで、様々な方向性のパフォーマンスが見られ、スタイルの多様性では過去最も豊かな大会だったと言える。では当日を時系列でレポートしていこう。

見応え抜群!「NEXT GENERATION SHOWCASE」!
JDD名物となってきた、オープニング前の「NEXT GENERATION SHOWCASE」。今年も次世代を担う3チームが出演!まず登場は小学生限定コンテスト「LiL’ WiLD」優勝チーム。三重のヒップホップチーム「BabyBoo」。パワー、スキル、ノリ全てを兼ね備えたダンスで観客を唸らせる。続いて登場は「DANCE ATTACK!! 全国決勝大会中学生の部」で優勝を収めた大阪のフリースタイルチーム「Nifty」。高い身体能力を活かした細部までこだわり抜いた斬新な振付による作品は、もはやアートの領域と言ってもいいくらいのクオリティーで、会場をどよめかせた。そして最後に登場したのは「DANCE ATTACK!! 全国決勝大会高校生の部」の優勝チーム、関東のJAZZ HIP HOPチーム「FOREVER M AND」。本戦のファイナリストに入っていてもおかしくないようなグルーヴィーでムーディーなダンスを披露した。きっと近い未来、FINALISTとしてこのステージに立つであろうこの3チーム。これからも注目だ!

オープニングでは昨年優勝「GLASS HOPPER」がサプライズでSHOWを披露!
「NEXT GENERATION SHOWCASE」、そして名物の「ADHIP田中による前説」を経て、完全にウォーミングアップされ怒涛のテンションの中、「オープニング」へと突入。オープニングムービーに始まり、今回の審査員がソロを次々と披露していく中、その最後に登場したのがジャッジTATSUOとその相方ITSUJIによる昨年JDD VOL.23 チャンピオンチームであるハウスチーム「GLASS HOPPER」。なんと昨年の優勝作品をこのオープニングでサプライズフル再演。そのハイレベル・ハイクオリティーなダンスは観るもの全てを魅了した。そんな最高な空気感の中、満を持して「MC USK」が登場!観客を更に盛り上げ、いい緊張感が漂うベストな状況を創り上げ、いざAブロックへ!

Aブロック
Aブロック、トップを飾るのは広島の次世代を担う若手ヒップホップチーム「S.S.B」。非常に重い質感のヒップホップを軸に、ポップやクランプなどの要素もミックスしながらストリート感のあるダンスを堂々と披露。そして2番目に登場の兵庫のフリースタイルチーム「PLAY BOY」は、ボリウッド(インドのミュージカル映画)風の世界観で強烈なパフォーマンスを繰り出し、会場を熱狂させた。福岡をレペゼンする「Reckless」は、グルーヴがしっかり乗ったヒップホップを披露。静岡のHIP HOPチーム「Riff chase」は、ブレイキングをミックスした(とは言えブレイキングもヒップホップダンスな訳だが)ヒップホップをジャジーかつファンキーにレペゼン。そして山形のWAACKチーム「アルストロメリア」は、そのパッション溢れるハッピーな世界観で会場をしっかり盛り上げた。関東のヒップホップチーム「Dread Noots」は、「和」をコンセプトとしたディープな作品を披露し独自性をアピール。そして大阪のBEBOPチーム「MAD ON J MASTERS」は、1曲使いで曲の流れに上手く乗っていく疾走感のある作品を展開し会場を沸かせた。続くは札幌のフリースタイルチーム「Dub Lub」。自由奔放に見えてしっかり流れのある面白い構造の作品で、独自の世界を表現。シンガポール代表のヒップホップチーム「NOOOICE!」は、フォーメーションやギミックを多用した王道スタイルのパフォーマンスを展開。ジャケットをジップアップしてマスクになるパートが印象的。岐阜のJDD常連の姉妹チーム「B:OCE」は、安定感のあるグルーヴィーなダンスをクリアに表現。POPPINGの重要人物「ACKY」率いる「ASURA」は、シンプルなダンス性を前面に出した一体感のある作品を披露。LOCKIN’ソリストが揃ったロックチーム「F/Y/N」は、個々の非常に高いスキルと即興力で、ファンキーで生々しいセッション空間を作り出した。スウェーデン大会で優勝したアメリカの女性ポップチーム「FEMME FATALE」は、セクシーさや繊細さしなやかさ等の「女性性」をポッピングに反映させた独自の世界観による作品を展開。東京を拠点とするヒップホップチーム「ASCHE」は、スピリチュアルかつディープな選曲&世界観で独自のヒップホップを表現。大阪の若手姉妹チーム「SIS」は、様々なジャンルのダンスを融合させたダンスを一曲使いの中で緩急自在に表現し、堂々としたスケールの大きいパフォーマンスを見せた。関西の女性ヒップホップチーム「DEBOC」は、気持ちのいいディープ&ナチュラルな選曲で、音楽性重視の作品を披露。愛知のLOCKチーム「OUT LEAP」は、2人のグルーヴを終始シンクロさせた息の合ったダンスを展開。日本を代表するKRUMPチーム「Twiggz Fam」は、リーダーである「Twiggz」が第一線から退いたため事実上の「若手チーム」ながら、「Baby Twiggz」「Soulja Twiggz」の2人を筆頭にチームをまとめ上げ、圧倒的なエナジーと、リスキーなトリックも次々に成功させていく事で生じる相乗効果も相まって、尻上がりに上がっていく一体感を感じさせるパフォーマンスを展開し、会場を沸かせた。沖縄をレペゼンするポッピング&アニメーションのチーム「Prankster」は、個々の非常にハイレベルなスキルと2人の個性を上手く活かした作品を展開。Aブロックラストには前回・前々回大会でどちらも特別賞を受賞している実力派ロックチーム「9stepper’z!!」が登場。メンバー8人が見事に一体となった、気迫溢れるエネルギッシュなパフォーマンスで会場を沸かせてAブロックを締めた。

Bブロック
続いてBブロックに突入。Bブロックの口火を切ったのは高校生5人組のジャズダンスをベースとしたフリースタイルチーム「Fabulous diva」。超タイトな振付で優雅かつ迫力のある作品を披露。神奈川をレペゼンする実験系フリースタイルチーム「ABANDON」は、2人が合体してみせるピタゴラスイッチのようなスタイルを非常に明るいヴァイブスで展開。東京の若手KRUMPチーム「FIGHT CLAB」は、非常に練習量の見える堂々の作品を見せた。山形を拠点とするヒップホップチーム「お〜でぃんず」は、フワリとしたナチュラルさが印象的な作品を展開。中国代表のポップチーム「THE D.O.G.S」は、オーセンティックなポッピングのスタイルをベースに、ソロを敢えて入れず7人のユニゾンを中心とした迫力のあるパフォーマンスを披露。関西の中堅ロックチーム「LOCKaJIVESET」は、選曲や振付など作品としてクオリティーの高さと一体感が印象的なダンスを見せた。岩手を代表するヒップホップチーム「“D”velopments」は、90’s中期のDNAを感じさせるHIP HOPで、ダイナミックかつ一体感溢れるダンスを展開。若手ハウスチーム「Alaventa」は、高度な演出力で見せるエンターティメント性の高い作品で、新しいハウスダンスの表現を提示。個々の魅力を引き出す分かりやすい作品で会場を沸かせた。続いてタイ代表のLOCKING+B-BOYINGというミックジャンルのチーム「MIX’EM UP」が登場。ディスコの名曲使いで出で立ちもアフロのウィッグを使ったりして70年代ファッションで登場。ロックベースで見せつつ、要所でフリーズやフレアを入れたりブレイキングが挿入されるというスタイルなのだが、途中でアフロヘアが1人だけ取れるというハプニングが発生。しかしそれを物ともせず、むしろ活かす形で踊りきり見る者を笑顔にさせた。そんな空気を一転させるかのごとく登場したのが大阪のJAZZチーム「ricordo」。幻想的な4つ打ちの選曲で展開する世界は非常に幻想的。関西屈指の実力者2人の非常に高度なテクニックで見せる立体的で美しい世界は観客を魅了した。大阪のヒップホップチーム「Penta G,ram」は、非常にタイトでギミカルな作品を展開。逆回しのルーティンが印象的。関東のベテランロックチーム「DOWNTOWNBOUNCE」は、長いチーム歴に裏打ちされた一体感のある作品を披露。ファンキーさとグルーヴ感、お互いの良いダンスを引き出し合うような空気感で、見ていて自然に笑顔になるようなダンスを展開。ドイツ代表のフリースタイルチーム「Disciples」は、MAJIDやFRANKY DEEなど実力者を擁するチームだが、バトルで目にする彼らとは全然違った世界観に振り切った作品を展開。シアター系の芸術性の高い作品で最後まで見せきった。関西のロックチーム「one ness」は、個々の個性と全体としての一体感を、疾走感のある選曲の中で表現。愛知のヒップホップチーム「澄香樹」は、邦楽(サカナクション/さよならはエモーション)の1曲使いで、ヒップホップのコンテンポラリー的アプローチでの作品を披露。Hirotottiの8小節熱唱するだけ、というパートは会場をどよめかせた。2年連続JDD出場の東京をレペゼンする実力派ハウスチーム「TERM-INAL」は、常に熱量を保って要所で爆発させる、そんな生々しさのあるグルーヴィーで熱いダンスを展開。大阪のポップチーム「SS」は、独自の選曲と世界観で「静」と「動」なら完全に「静」と言える作風で、孤高を志すかのような作品を見せた。関西の女性ヒップホップチーム「Volcano Camargo」は、アーシーな世界観の中でセクシーさやしなやかさ等、女性的な質感や感性を繊細なタッチで表現し、観客を見入らせた。関東のポップチーム「GDS」は、アイデアやイルなセンスを遺憾なく作品に反映させ、斬新な表現を連発。経験値の高さを感じさせるような表情やステージングもあり、バランス性もある作品で会場を沸かせた。大阪&東京をレペゼンするヒップホップチーム「ENcounter ENgravers」は、高度な振付能力を活かした見事な作品構成で、スキルの高さとセンスの良さを感じさせるパフォーマンスを見せた。そしてBブロック大トリに登場したのは、関東のLOCKINGスーパースターチーム「ALL GOOD FUNK」。個々の非常に高い能力や際立った個性を、ベテランらしい余裕感も織り交ぜながらパワフルに体現。「流石!」と思わず唸ってしまうような高いバランス感のある作品でBブロックは幕を閉じた。

歓喜に包まれた結果発表!
特別賞1チーム目に呼ばれたのはタイ代表の「MIX’EM UP」。終始笑顔でこの入賞に喜びを爆発させていたのが印象的。特別賞2チーム目に呼ばれたのはポップチーム「GDS」。高みを目指していた故に悔しさも感じられたが、素晴らしい作品を出し切れたという達成感も感じさせた。そして3位入賞は若手ハウスチーム「Alaventa」。チームワークの良さ、そして何より次世代代表としてハウスシーンを盛り上げたいんだという志の高さを感じさせるコメントが印象的。そして2位入賞は大阪のJAZZチーム「ricordo」。JAZZチームが2位に入ることは初の快挙。Naokiは号泣、Kahoは笑顔という喜びの表情が正反対なのが印象的。そして、いよいよ優勝の発表。MC USKがコールしたのは「Twiggz Fam」!KRUMPチームがJDDで優勝するのは史上初。リーダーの「Baby Twiggz」はこのチームの歴史、今回の出場の意味、優勝できた事への様々な感謝を涙ながらに話す姿は感動と共感をもたらした。(Twiggz Famの熱いコメント、更に深い話は、10月中旬にアップされるJDD VOL.24 CHAMPION INTERVIEW “Twiggz Fam” をお楽しみに)

 

若手が躍動し、新たな歴史が刻まれた「JAPAN DANCE DELIGHT」。KRUMPチーム「Twiggz Fam」の優勝により、ストリートダンスシーンに於いてKRUMPがより浸透していく一つの大きなキッカケになるだろうし、全国の更には全世界のKRUMPERに勇気とモチベーションを与えたに違いない。今後が楽しみである。さて、いよいよ次回のJDDはなんとVOL.25!つまり25回記念大会という事になる。VOL.10=ELECTRIC TROUBLE、VOL.15=GLASS HOPPER+PINOCCHIO、VOL.20=O.G.S、という風に記念大会回は毎回大物が出場し優勝を収めている。現時点でも具体的には言うことは出来ないが、大物チームや大物ダンサーが出るという情報も入ってきているだけに非常に楽しみな所!まずはODD VOL.33、TDD VOL.19に注目だ!