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2009年から続く日本勢の連覇を “9連覇” に伸ばし、見事「世界一」の称号を手に入れた2017年日本代表「SPARKY JEWEL(MIJU&YASMIN)」の2人。
何度も挑戦し悔し涙を流してきた2人が日本予選を制し、迎えた世界大会は一体どのようなものだったのか?どういった事にこだわり、どういった準備をしてきたのか、この大会に懸けてきた思いや、今後の展望なども語ってもらったLONG INTERVIEW。
B-BOY、B-GIRL必読!

 

MIJU
レペゼン地区: 大阪
所属チーム: K.A.K.B. SPARKY JEWEL
年齢: 20歳
ダンス歴: 13年
ダンスを始めたキッカケ: 2004年のBOTYのモーコンの映像を見て。

 

YASMIN
レペゼン地区: 大阪
所属チーム: K.A.K.B. SPARKY JEWEL, 浪速平成シスターズ
年齢: 20歳
ダンス歴: 10年
ダンスを始めたキッカケ: 頭で回りたくて始めました。

 

ーSPARKY JEWELを結成したキッカケを教えてください。
Y(YASMIN) ダンスを始めてしばらくして、ソウルアンドモーションというスタジオに通い始めて、「マッスル」さんと「ヨッシー」さんのレッスンを受けていたんです。それから1年半くらい経ったある日、MIJUがヨッシーさんのレッスンに来て、「あの上手い子誰?」ってなったんです。10年前なので小学校5年生くらいの時ですね。
M(MIJU) この頃に「マッスル」さんから「チームを組んでみないか?」と言われたのがキッカケだった、、、んだと思います、多分。
Y まだ子供だったので詳細を覚えてないですね(笑)。チームを組んでからは天保山のコンテストやスーパーキッズとか、バトルではなくコンテストに出ましたね。そして今のBOTY B-GIRL 2vs2 BATTLEの前身の「We☆b-girlz」の動画を見て「しーちゃん」さんや「なるみ」さんが活躍しているのを見て憧れて「いつかここで優勝したいな」って思い始めていたんですが、そのバトルの日本予選が開催される事になって、これは目指すしか無い!と心に決めチャレンジするようになりました。だから、初めて出たバトルは「We☆b-girlz」でした。ベスト8で「NAGI」さんと「NAO」さんのところと当たって延長になって負けた、というのが最初の戦績です。2010年の話ですね。

 

ーWe☆b-girlzからBOTY B-GIRL 2vs2まで、2010年から(受験等で参加しなかった年はあれど)チャレンジし続けた訳ですが、諦めずにチャレンジし続けることが出来た理由は何ですか?
M ずっとこの大会で世界一になるという「夢」があったからですね。他のバトルとは違いますからね。
Y やるたびに自信もついてきたし、自分たちの長所も徐々に分かってきていたので、たとえ負けたとしても落ち込むのはその日だけで、常に前を向いて次のチャレンジの事を考えて前進できてましたね。

 

ーその自分たちの「長所」は具体的には何ですか?
Y 「ダンスができる」という部分ですね。常にファンキーさを求めて踊ってきたんで。他を見ると「スキル」が凄いとか「パワー」が凄いとか、そういう部分が秀でているところが多いので、自分たちはこの「ダンス力」を武器に日本一に、そして世界一になりたいという思いは年々強くなり確信へと変わっていきました。ただ、迷った時もありました。「エアーができないとダメなのかな?」とか思って練習したこともありました。まあ、すぐに自分たちはこういうのは違うなって気づきましたけどね(笑)。

 

ー自分たちが挑戦した日本予選の中で印象に残っていることって何ですか?
Y さっきも出てきた初めてのWe☆b-girlzでの「NAGI」さんと「NAO」さん組とのバトルでの延長戦の前のバトルで、練習でやったことがない「ノーハンドウインドミル」を私がやって、会場が沸いたのを今でも覚えています。あれが多分初めてバトルで沸かすという事を経験した瞬間でした。
M 思い返したら沢山あるんですが、私は今年の日本予選準決勝であたった「Floor Freaks[ERi&YURIE]」との対戦ですね。対戦できるというのも光栄で嬉しかったですし、大一番だと思っていたので、このバトルで勝てたのは凄く大きかったです。

 

ー今回のWORLD FINALは全体的に個々のレベルが高かったですね。
Y そうなんですよ。だいたい大会の1ヶ月前くらいだったと思うんですが、FINALISTのラインナップが発表されたんです。そしたら「Jilou」が出るやん!とか、2人共パワームーバーの「Pauline & Sunny」が出るやん!とか。
M この人名前知らないけど上手い!とかもね。あと、「Leile & Carlotta (France) 」は凄くファンキーで、実際は当たらなかったんですが、対戦していたら楽しかっただろうなって思います。

 

ー強豪揃いである事が分かっている中、ラスト1ヶ月でどういった準備をしましたか?
Y ソロは伸び伸び自分がしたいことをしよう…って言うのは雰囲気的に決まっていて(笑)。

 

ー雰囲気的に(笑)、長年チームしてるからその辺は何も言わずとも共有できるということですね。
Y そうですね(笑)。相手がハイレベルなパワームーブで攻めてくる、という局面は絶対にあると想像できたので、それに対して自分たちがパワームーブで返すというのは実際できないし、それでも一度無意識に返しちゃった時はあったんですが(笑)、とにかくルーティンにダイナミックな動きを詰め込んで返そうって事で準備はしてました。ルーティンは「2人だからこそ出来る」事や、「2人だからこそかっこいい」みたいな事にこだわって作ってました。準備したルーティンは7つですね。バトルではそれらのルーティンを全部出しました。どんな状況でもルーティンが出せるように、息が上がってる状態でルーティンを展開する練習なんかもしてましたね。

 

ーそれにしても本番の会場のバトルエリア、狭かったですよね?
Y 狭かったですね〜。怪我したチーム(Minimish & Scarlett)もいましたし。もっと広くした方がいいってオーガナイザーに言いに行こうと思ったんですが、誰がオーガナイザーなのか分かんなくて。しょうがないからとりあえず決勝の最後に使ったルーティンをバトルエリアを斜めに使うように変更して何とか出来ました。

 

ーでは、本番当日を時系列で振り返りたいのですが、どんなスケジュールでした?
Y 本番は夜なのですが、まず朝起きて準備して、10時から練習場所を使えるってことだったので練習場所に連れて行ってもらって練習して。お昼を食べてから午後はお昼寝して夜に備えました。

 

ーいよいよ会場に到着してからはいかがでしたか?
Y 会場についてしばらくしたらDJタイムになって、2つくらいサークルが出来てましたね。自分はサイファーも少し出てウォーミングアップしてました。サイファー楽しかったです。
M 私は1人でウォーミングアップする派ですね。端の方で自分のペースで踊ったりしてました。
Y いつもそんな感じですね。

 

ー実際のトーナメントですが、まずは「Nathana & Alessandrina (Brazil/Italy)」との対戦でした。
Y 「Nathana」が手を怪我していてほとんど踊らなくて、「Alessandrina」ばかりが出ていたんです。
M バトル中は事情を知らなくて、なんで「Alessandrina」ばかり踊るんだろう?って不思議に思ってたんです。そしたらバトル終わりに「Nathana」に手首を見せられて「怪我をしているの」って言われて、そういう事かってなりました。

 

ー最初のバトルって緊張しがちだと思うのですが、その辺はどうでしたか?
Y 実はこの一回戦の1ムーブ目が一番調子良かったんです(笑)。「今日は絶対行けるわ」みたいな自信はその時に感じましたね。
M 本番3日前にトップロックのみのルーティンを作ったんですが、そのルーティンが大好きで、そのルーティンをこの最初のターンで出したんです。それが本当に気持ちよくて、一気にリラックスしてリズムに乗れた感じでした。

 

ー準決勝のJilou & Paulina (Germany/Poland)戦はいかがでしたか?
M 私達ルーティンを失敗してちょっと焦ったんですけどね。
Y 「Jilou」は「ここを見せたい」という部分をしっかり押し出して見せてくるんで、やっぱり上手いなって感じましたね。

 

ー当日バトル中の会場内の雰囲気はいかがでしたか?踊りやすかったですか?
Y 一応少し不安はあったんです。けど、全然踊りやすかったです。「JAPAN!」って言って盛り上がってくれてましたし。今までの日本8連覇してるって事もあまり知ら無さそうだなって感じもしましたし。単純に目の前のバトルを見て楽しんでいるって感じでした。

 

ー決勝戦「Pauline & Sunny (Netherlands/USA)」との対戦はいかがでしたか?
Y 決勝は元々「4ラウンド」って聞いてたんですよ。そしたら本番になって「6ラウンド」に変更になったんです。けど、一応6ラウンドの練習もしていたので対応はできたんですけどね。
M 例年決勝は6ラウンドだったんです。それが昨年いきなり4ラウンドになって。だから、今年はどっちなんだろう?って思っていたんで一応6ラウンドになった時のために用意はしていたんです。
Y そんなこんなで決勝戦なんですが、一番マークしていた2人が決勝に来ましたね。
M 2人共パワームーバーで、私達とは全然違うタイプですからね。
Y 自分たちにしか出来ないことをしっかり押し出して行こうって事でバトルに臨みましたね。
M 1本目のルーティンですが終盤が凄くしんどいんです。だから決まって良かったですね。
Y その後に出てきた「Sunny」がメチャクチャ上手くて。パワーで沸かしてきたんでトップロックで反撃しようと思って出ていったんですが、ついパワームーブを出しちゃいましたね(笑)。

 

ーバトルの音ですが結構幅広いですね。ド定番から聴いたこと無いような曲まで選曲のクセが強いというか。
Y そうなんですよ(笑)。
M DJが「JUST A KID」って人なんですが、事前に誰が回すかも決まってたので、ユーチューブにアップされてたミックス音源をかけて練習してました。だからクセの強さは知ってました(笑)。
Y 初めて聴くような曲を出してきそうだから私たちに有利かなって思ってました。知らない曲で踊るほうが気持ちよく踊れたりするので。
M 知ってる曲だと先が読めるので踊りにくいんですよ。

 

ー決勝は自分たち的に「勝った」と思いましたか?
Y そうですね。勝ったとは思いました。相手のミスは結構目立っていたし、ルーティンは私達しかしてないし。あと、私達は自分たちの良さはしっかり表現できたっていう実感があったので、勝っても負けても「出し切った」という感覚はありました。

 

ー優勝して改めて感謝したい人っていますか?
Y まずはママ達ですね。一緒にドイツに来たんですが、陰ながら応援してくれていたんです。
M バトルが終わるまで自分たちのペースを乱す事がないように喋りかけてこなかったですしね。
Y この10年間くらい、この大会を目指し始めてからずっと支えてくれていて、本当に感謝ですね。
M 親と喧嘩することもあったんですが、それは決まってこの大会絡みで(笑)。何かこう、日本予選が近づいてくると家庭内がピリピリしてくるんですよね。今年は無かったんですけどね、私達が大人になったからだと思うんですけど。
Y ママたちも「絶対獲って欲しい」という気持ちを持っていましたしね。2家族をあげてこの大会に懸けてましたから。
M あと、私の弟である「KANTA(K.A.K.B.)」にも感謝ですね。練習につきあってくれて。
Y 本番想定の練習の時に、私達2人相手に8ムーブ相手してくれたりして。ありがたかったです。

 

ー今回、長年の夢だった「BOTY B-GIRL 2vs2 BATTLE」での世界制覇を実現させた訳ですが、その夢を実現させるに至った理由ってどういうところにあると思いますか?
Y とにかく諦めなかったからだと思います。
M あと家族の支えもありますね。
Y そうですね。あとは、自分達って信頼関係が強くて。喧嘩もしたことないですしね。
M 練習も楽しすぎますしね。歴代の日本代表チームってほとんどがストイックなイメージがあるんですが、自分たちは楽しんでいる中で良さを出せるタイプだと思っていて、今回もそんな感じで楽しめたから良かったんだと思います。

 

ー自分たちの良さというのはやはり「音楽性」の高さってあると思うんですが、何か普段から意識していることってありますか?
Y 何かあるかな?、、、普段は極力「BREAKS」は聴かないようにしてる事でしょうか。とにかく好きな音で踊るようにしています。何か「SAMBA」みたいな曲でも、気持ちいいと感じたらそれで踊りますし。練習場所でいつも同じ音源のBREAKSばかりかける、、、みたいな事は出来ないですね。飽きてしまってテンションが上がらないんです。練習の時はできるだけFRESHに感じることが出来るように音源にはこだわってます。あと、直接関係あるか分からないですが、インナーマッスルを鍛えてます。グルーヴを表現するには軸が大事かなと思って取り組んでますね。

 

ーこのドイツの旅を振り返って感じたことは他に何かありますか?
Y やはり「MORTAL COMBAT」は格好いいなという事ですね。自分たちがダンスを始めたころから世界に挑戦していて、その頃は実際習っていたし、世界を目指すという事を見せてくれていた存在だったので、「MORTAL COMBAT」の存在がなかったら、きっと私達はこうやって世界を目指すことはしてなかったと思うし。
M 2004年のBOTYの「MORTAL COMBAT」を見てブレイキングを始めたので、その「MORTAL COMBAT」と一緒にドイツに行けたことが凄く嬉しかったですね。

 

ー2人それぞれのこれからの方向性や、将来実現させたい事などをお聞かせ下さい。
M ダンスはゆっくり自分のペースで取り組み続けようと思っています。パワームーブを頑張りたいですね。今、保育の学校に行っているのですが、将来は幼稚園の保母さんになりたいなって思っています。
Y 今、これを獲りたい!って思える目標がなくなったので、今一度自分のダンスと向き合おうって思ってます。自分のダンスを「勝ち負け」と離して考えようと思っています。ダンスだけで生きていこうとは思ってなくて、今大学生なんですが、今後どういった仕事をしていくか、という事もじっくり考えて行きたいなって思っています。まだ20歳なんで、しっかり自分探しに向き合っていきたいです。20歳で思い出したんですが、小学校の時のタイムカプセルに、大人になった自分へのメッセージとして「優しい人間になれてますか?」っていうのと「20歳までに世界一を獲れてますか?」っていうのを書いていて、「達成したよ!」って言いたいですね!優しい人かどうかは分からないですが(笑)。