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NEW STYLERS

JDD VOL.19、VOL.21、VOL.22の3度、ファイナルに進出している宮城を代表するヒップホップチーム「New Stylers」。JDD仙台大会では、メンバーのKENがジャッジを担当。東北地域で今注目のヒップホップチームである彼らにインタビュー。彼らのルーツや、ニュージャック愛、地元への想い等々が伝わってくる内容となっています。CHECK!


写真左から: おっちゃん, KEN
(本文中: K=KEN, O=おっちゃん)

ー「New Stylers」結成のきっかけを教えて下さい。
K 高校のダンス部で出会いました。現代のダンス部のようなストイックな感じじゃなくて、ダンス好きが集まっただけのような部活だったんですが、先輩がニュージャックを踊っていて、僕らも教えてもらったんです。それこそ「Heavy D」だったり「MC HAMMER」といった曲で、大きめの黒シャツにデニム的な出で立ちで踊ってました。だから自分達のニュージャックのルーツは高校のダンス部なんです。そして高校を卒業した時に、先輩達が仙台のダンスシーンで活動してるのを見て、自分達も!と思ってダンス部だったメンバー6人で「BUST@MOVEMENT」っていうチームを作ったんです。メインスタイルはニュージャック系だったんですが、続けていくうちに良い意味でそれぞれ方向性が変わっていったりメンバーが変動したりがありました。このチームでJDD仙台大会に出たこともありますね。そんな中、ある時結構急なタイミングでコンテストに出ようと思ったことがあったんですね。そのコンテストは茨城の「GRAND SOUL」という大会で、2010年の予選2回戦だったんですが、その予選に出たいって思ったんです。その時に「おっちゃん」に「旅行がてら2人でコンテストに出てみない?」って誘ったんです。その時は色んなヒップホップに挑戦していた時期だったんですが、イマイチしっくり来ていなかったんですよね。ただ、おっちゃんはずっとニュージャックを好きでやってて、一番得意分野だったんです。なので、ニュージャックで出ることにしたんです。

O 当時は2人でコンテストに出た事なかったんです。だから不安ではあったんですけど、「旅行がてら」って言うし、まあいいか!って思って出ることにしました(笑)。ジャンルもニュージャックだし、面白そうだなと。

K そしたら、そのコンテストで結果が出たんです。決勝進出することが出来、チームメンバーとも相談して、予選と同じ2人編成で出場することに決め、チーム名を「New Stylers」にしました。

ー初めて「New Stylers」としてJDDに挑戦したのはいつですか?
K 2011年の震災の年の予選ですね。当初4月に開催予定だった大会が中止になって、それから改めて開催された大会が東北・北海道のダンサー限定の予選が開催されたんです。それが「New Stylers」としては初JDD挑戦でした。ジャッジにはお世話になってる尊敬する「SHIBA」さんもいたし、入賞を狙って作品を作ったんですが詰め込みすぎてしまって、しかも緊張もして本番は全くいいダンスが出来ませんでした。ちなみにAブロック1番で、見事玉砕しましたね。

O しかも尊敬するMIDDLE FILTERさんもいたのもあって余計緊張したのを覚えています。

ー「New Stylers」にとって「MIDDLE FILTER」はどういう存在なんですか?
O 昔ってこういったニュージャックのスタイルでコンテストに勝ちにくいイメージがあったと思うんです。それを2009年に「MIDDLE FILTER+SPACE TRAVELLERS」がJDD VOL.16で準優勝したんですよね。こういったスタイルでも結果が出せるんだ!っていうのが衝撃的で、僕らでもこのままのスタイルで頑張れば結果を出していけるのかもって希望を持たせてくれたチームですね。

ー「New Stylers」は、80年代後半~90年代初頭のヒップホップにフォーカスしたスタイルを貫いている訳ですが、どうやってこういったスタイルを突き詰めていったのですか?PVを見て分析したり、然るべき人から習ったり、想像力を駆使した独学だったり、色々アプローチの方法がありますが…いかがでしょう?
O 全部ですね(笑)。もちろんPVも見ましたし。昔ニュージャックスイングナイトっていうのが目黒であった時に僕達も行って、そこでKOTAさんに色々話を聞いたりとか、MIDDLE FILTERさんワークショップを受けたりとか、あとは自分達なりに手探りで基礎を固めてって感じで。とにかくあらゆるアプローチを試みましたね。やれる事は全部やりました。

ー2000年代中期からダンスを始め今に至る2人な訳ですが、ヒップホップでも色んなスタイルがあるこの時代に、なぜニュージャックにフォーカスしたスタイルを踊っているのですか?
K 自分は結構色んなスタイルが好きで踊るんですよね。Beat Buddy Boiさんのスタイルとか、KING OF SWAGさんのスタイルとか、他ジャンルでもロックもポップも好きで、色んなダンスがしたい。ただ、自分の勝負時となればニュージャックって感じなんですが、相方はニュージャック一筋なんですよね。

O 自分も他の色んなスタイルやジャンルの方のショーをやダンスを見て格好いいなって思うんですけど、「BUST@MOVEMENT」時代にヒップホップの色んなスタイルに取り組んで練習もしたんです。ただ、自分的にハマらなくて戻っちゃうんですよね。やっぱこっちだなって。ニュージャック以外で身に付けたモノも、結局ニュージャックにどうやって反映させられるかという発想になっちゃうんですよ。例えばロックのコミカルなニュアンスをニュージャックに置き換えるとこんな感じかな?みたいな。考えの主軸は完全にニュージャックなんですよね。とにかく、ダンスも音楽もファッションも大好きなんです。

K 自分達自身キャラ的にもクールなキャラではないんで(笑)。日常でも「イェ~!」って感じなんで、そういった事もあってハマったんだと思います。だからコンテストとかでもカッコつけられないんですよね。

ー「New Stylers」というチーム名の由来を教えて下さい。
K 新しいモノを作っていきたいっていう意識からですね。「MIDDLE FILTER」さんのショーなんかを見て、これがやりたい!って思ってやっても絶対本家には勝てない訳ですよ。けど2000年代にダンスを始めた若い自分達だからこそ出来る事があると思うんです。ヒップホップの色んなスタイルやロック、ポップ、ビバップ等、色んな要素やニュアンスをニュージャックに落とし込んでみたり、そういった自分達にしか出来ない「New Stylers」の新しいスタイルを作りたいっていう気持ちは強いですね。

ーニュージャックに色々自分達になりにミックスさせていく事って凄く難しい事だと思うのですが、どういったアプローチで取り組んでいますか?
K ミックスする事は難しいですね。やってみたけど上手く行かなかった事の方が凄く多いです。ミックスするって言っても、いきなりトゥエルとかいきなりフレズノみたいなのは全く違いますからね。自分達がよくやる方法は、ニュージャックの定番曲じゃない全然違う曲で、ニュージャックを当て込むっていう方法ですね。ファンキーなロッキングの曲に思い切りニュージャックの振りを当て込んでみたりとか。そういった実験的な作品はよく地域のお祭なんかで試してみたりしてますね。夏だったら夏っぽい曲を使ってみたり冬だったら冬っぽい曲だったり、TPOに合った選曲を心掛けてますね。自分が振りを作るんですけど、振りを考える時に絶対意識するのが「お客さんを喜ばせたい!笑わせたい!」って事なんですよね。自分、実は小学生の時、本気でお笑い芸人目指していたんですよ。

O そうなの!?初耳です(笑)!

K 本気で目指してて、コンビも作ってて、小学校で「係活動」というのがあったんですけど「クラス笑わせ係」っていうのを作ったんですよ。週に一回クラスの前でコントや漫才をやるみたいな事をしていて。だから、今でも「おお~、かっこいい!」っていうよりも「うわー!面白い!メッチャうける!」みたいに思ってもらいたいんですよね。それは地域のイベントでも、JDDにしても変わらず同じ想いを持っています。この音をこういう風にハメたらお客さんは盛り上がるだろうな~みたいな事を想像しながら振りを作ってます。それがもしかしたら「New Stylers」のカラーになっているのかもしれないですね。

ーそんなKENさんのエンターテイナー精神から来る振りは相方としてはどう感じてますか?
O たまに「すげえの来たな!」って思うこともあるんですけど、自分はずっとニュージャックメインで踊ってきたんで、頭が固い部分があるので、自分は助かってますね。
K おっちゃんは僕よりニュージャックの知識がありますし、一つ一つの動きのディテールが精密なんで、自分が「こういう振りなんだけど」って出したら、「ああこうね!」って感じで、より精度の高い動きを出してくるんで、凄く助かってますね。


JDD VOL.19で初ファイナリストとなり、その後JDD VOL.21JDD VOL.22と連続でファイナリストとなった訳ですが、それぞれどんな大会でしたか?
O 最初のファイナル進出を決めたのがJDD VOL.19仙台大会だった訳なんですが、嬉しかったのはその日だけで、後はプレッシャーだけしかなかったですね。
K この時は一度作った曲をボツにしてるんです。意気込んで選曲したんですがいあざ振りを作ろうとしたら全然出てこなくて。それで一度リセットして「前にショーでやった楽しいやつをやろう」って事になったんです。ぶっちゃけると「勝てる訳ないんだから好きなことをやっちゃおうぜ」って事ですよね。正直エントリーしているチームを見ていてこの中で勝てるとは思ってもなかったので、結果発表で呼ばれて驚きました。嬉しかったのは嬉しかったですが、東北のダンサーの人達は我々の実力を知っているので、「そこ通っちゃうの?」みたいな感じはあったと思います。けど、それを機に、ダンスショーなんかでも「JDDファイナリストなんでトリで!」とか「ゲストショーよろしくお願いします!」とか、そういう風にオファーが変わってきて。ありがたい事ではあるんですが、自分達にとっては凄くプレッシャーだったんです。その重圧が体を動かなくしちゃってショーでも8×1振りを飛ばしたりっていうような事があったりして、もうボロボロで。その時に地元の先輩に助けてもらったんですよ。ダンスも人としても本当に尊敬している師匠のような人で、僕らの高校のダンス部を作った人なんですけど、その方に飲みの席で「落ち着け」と言われて(笑)。それで少しずつ持ち直していきました。JDD VOL.20も挑戦したんです。その時は狙ってたんですが玉砕しましたね。その時は自分達はライバルだと思ってて本当に格好いいって思っている「“D”velopments」が行って、悔しかったのを覚えてます。JDD VOL.21の時は東北の注目チームの一つって感じになってたと思うんですけど、正直勝てるとは思ってなかったんです。ただ、自分達が踊る時の歓声が凄かったんです。耳をつんざくような応援が本当に凄くて本当に気持よく踊れたんです。そしたら呼ばれて。ここで結果を残せたのは自分達にとって凄く自信になりましたね。

A9_New Stylers

New Stylers

ー3度JDD FINALには3度出場されていますが、JDD FINALの舞台はどうでしたか?
O ゲロ吐くかと思いましたね(笑)。レベルの違いを思い知らされました。やっぱ壁が高いっていうのを思い知らされましたね。
K ただ、昔と比べると、あのステージで自分達が踊って観客を沸かせているっていうイメージは出来るようになってきましたね。

ー今年は出場するんですか?
K 仙台以外のいずれかの予選大会に出場する予定です。僕ら仙台以外の大会に出たこと無いんですよ。ホームではないところで、自分達をほとんど知らない人達の前で踊って、その人達を「やべー!New Stylers面白い!」って沸かせたい。それが今回の自分達の新たな挑戦ですね。

ー宮城で活動しているお2人ですが、今後のビジョンはどう考えていますか?
O 僕達は地元が大好きなんですよね。そんな地元で活動してる自分達の後輩たちに、東京や大阪みたいなダンスが盛んな大きな街に行かなくても、地元で活動しながらJDDという大きな大会で決勝に行く事が出来るっていう事を示すことが出来て、一つ希望を持たせる事が出来たのかなと思うんです。僕らまだまだ前線でやって行きたいので下の子の面倒を見るってとこまで今は考えられないんですけど、将来的には地元は勿論宮城全体のダンサーがもっと増えていく事に繋がっていけばいいなって思ってます。
K 自分達は宮城の「古川」という街で活動しているんですが、どうしても「New Styles…、仙台のチームね」みたいな感じで認識されていることが多くて。宮城だしそれは仕方ないと思うんですが、「宮城って仙台とあと古川っていうNew Stylersがいるとこもあるよね」って感じで、認識されるような状況にもっていけたらと思っています。仙台って僕らから見ても凄くレベルが高いんですよ、キッズ達にしても本当に凄くて。けど、僕らの地元「古川」は、ダンスが超上手いというより、ダンスが超好きで三度の飯よりダンスが好きって感じの子達が生まれて欲しいなって思います。そして「New Stylersみたいになりたい!」って言われるようになれたらなって思います。

ーJDD地区予選に出られるとの事ですが、意気込みをお願いします。
K 今回は仙台を離れ違う地域の予選に出ようと思っているんですが、勝負の世界なんで「勝ちたい」ですね。ホームである東北を離れても結果が出せるって事を見せられたらなと思っています。
O 他の地域で通ってみたいという想いが強いですね。いつも通り自分達の空気で楽しく自分達のダンスが出来たらなと思ってます。それを可能にするメンタルに持って行きたいですね。とにかく楽しみです。