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ブロンクス出身。”ROCK STEADY CREW” “ELECTRIC BOOGALOOS” “ZULU NATION” “TC5” という4つの偉大なグループのメンバーとして活動している。ポッパーとしての認知度が高いが、BREAKING, GRAFFITTI, MC, DJと、HIP HOPカルチャー全てをライフスタイルとして体現している生粋のHIP HOPマスターである。HIP HOPカルチャーが全世界へと発信された映画「BEAT STREET」「WILD STYLE」といった伝説の映画にも出演している。現在はワークショップやジャッジ、そして彼独自のワークショッププログラム「Mr. Wiggles HIP HOP CAMP」を世界中で開催している。今回その「Mr. Wiggles HIP HOP CAMP」で来阪中の彼に “HIP HOPカルチャー” にフォーカスしたインタビューを敢行。全ダンサー必読!

 


ーMr.Wigglesさんのfacebookにアップした「このシーンに於ける認識の欠落を補う10のコト」という記事を見つけたのですが、その内容に対する解説をお願いしたいです。(3月31日時点で710シェア)


1 – Always include BBOYS/BGIRLS in HIP HOP CAMPS and FESTIVALS (and not just for Top Rock)

ダンススタジオやダンスキャンプやフェスティバル等、「HIP HOP」というワードが使われている場所やイベントにBBOY, BGIRLが含まれるべきだ、って事さ。BBOY, BGIRLがいる場所こそ「HIP HOP」だからね。

2 – Promote the BREAKING Category as BREAKING (Hip Hop) in all International Battles. So that Kids won’t grow up thinking Breaking is not HIP HOP.

カテゴリー分けをする時に「BREAKING」と「HIP HOP」という風にしてしまっているけど、それではまるで「BREAKING」が「HIP HOP」ではない、と言っているようなものだよね。「BREAKING」は「HIP HOP」なんだ。だから厳密に「HIP HOP」というダンスのカテゴライズをするなら「HIP HOP (BREAKING)」「HIP HOP (FREESTYLE)」とするべきだと思うんだ。プロモーターの方々には理解して欲しいと思うよ。

3 – Stop Sayng BBOYING as a Battle Catagory. Unless it is a strictly a category for BOYS (which I think is absurd as it is)

「BREAKING」というジャンルの名称を「BBOYING」と言っている人がいるが、この場合じゃあBGIRLはどうなるんだって事になるよね?そもそも「BBOYING」という言葉は90年代に出来たニューワードであって、70年代からこのダンスを指す言葉は「BREAKING」なんだ。

4 – TOP ROCK is NOT a dance style, IT IS BREAKING!!!!

TOP ROCKは一つの独立したダンススタイルではないんだ。TOP ROCKというものはBREAKINGの一部にすぎない。「自分はTOP ROCKはやるけどBREAKINGはしない」というのはおかしな話で、TOP ROCKをするのであれば、BREAKINGの他の要素であるフットワーク等のその他のBREAKINGの要素もできるとベストだね。

5 – again THERE IS NO SUCH THING AS A F&CKIN TOP ROCKER! (a so called)Top Rocker is a BBOY/BGIRL!

最近、フロアーには入らず(出来ず)TOP ROCKだけやってる人を「TOP ROCKER」と呼んでいるのを耳にするけど、そんなの無いからね。TOP ROCKERというのはBBOYやBGIRLのことさ。バトルなんかで「TOP ROCK BATTLE」や「FOOTWORK BATTLE」「POWER MOVE BATTLE」等といったものが存在するけど、それはその一つ一つが単独のカテゴリーという訳ではなく、BREAKINGの1要素のレベルを上げていく為に存在するものなんだ。それしか出来ない人の為のものではないんだ。

6 – HIP HOP (freestyle) BATTLES Should allow BREAKING so long as they also know foundations of HIP HOP PARTY DANCES of the 80’s.

HIP HOPバトルにBREAKINGで出たら「なんで?」みたいな感じになるのはおかしいと思うんだ。「HIP HOP」が指すダンスは「BREAKING」と80年代のHIP HOP PARTY DANCEを基礎にしたダンスの事なのに。


7 – STOP Allowing FULL POPPING in HIP HOP BATTLES if your not gonna let BBOYS/BGIRLS enter with full on Breaking.

HIP HOPバトルに完全にポップのスキルでエントリーしてそれで勝っていってるという現状を見る訳だけど違和感を覚えるね。ポップをやるならポップバトルに出るべきでHIP HOPバトルで混同して評価されるべきではないよ。


8 – Remember HIP HOP MUSIC is BREAK BEATS, RAP (and also Electro Funk) Not just RAP.

HIP HOP MUSICってのは3つ存在する。一つは「BREAK BEATS」。ブレイキングではお馴染みだけど、ブレイクを使ってカットしたりスクラッチしたりして出来る音楽。二つ目は「RAPミュージック」、そして三つ目は「エレクトロ・ファンク」さ。ヒップホップミュージックはRAPミュージックだけではないんだ。

9 – Include BREAKING in all HIP HOP CHOREO (and I mean actual Breaking on the FLOOR not just Threads, Tricks, Flips and Caperia poses)

最近良く見る「HIP HOP CHOREO」って言われているものは俺からしたら「STREET JAZZ」と言われているようなものが多いね。HIP HOPの振付と言っているのに「JAZZ」や「WAACK」や「VOGUE」のテクニックが混ざっているという事と、「HIP HOP CHOREO」って言っているのにそこにBREAKINGが全く入っていないのが気になるね。BREAKINGって大技ばかりでもないし、自分達に出来る範囲でBREAKINGも振付の中でレペゼンして欲しいね。ダンスで言う「HIP HOP」というのはBREAKINGと86、87年くらいに確立されたMOP TOPによる「HIP HOP FREESTYLE」を指すものだから、その中のファンデーションで振付すべきだと思うね。

10 – TEACH the History of HIP HOP Culture/Dance in all Classes. Knowledge is the 5th Element. So Teachers should always end the class with knowledge of the Culture of Hip Hop. And that includes all the basic dances of HIP HOP.
blessings…

HIP HOPは俺のホームタウンである「BRONX」が起源なんだ。今の若者の中には「HIP HOP」はRAPミュージックだ、とか、ダンスのジャンルだ、という風に認識している人も多いけど、「HIP HOP」というのは「BRONX」で育まれたカルチャーなんだ。「BREAKING」「MC(RAP)」「DJ」「GRAFFITTI」そして「KNOWLEDGE(知識)」という5要素によるカルチャーさ。この知識というのは単なる知識ではなく、この文化を通してどれだけの人の気持ちや人生を救えるかという事も含め、相手を知る、自分を知る、相手をリスペクトする、自分をリスペクトしてもらう、という事なんだ。それらを全部引っ括めて「HIP HOP」なんだ。多くの「HIP HOP」のインストラクターはダンスのテクニックしか教えていない訳だけど、ちゃんとカルチャーについてや、時代がどう流れて今に至ったのか、とかも教えられないといけないんだ。ダンスのレッスンを受けているキッズ達がギャングみたいな格好をして、ギャングみたいな身振り手振りを、何も意味を分からずにしているというこの現状はよくないよね。「先生」という立場にある人は、そういう事も含めて教えていかないと本物のHIP HOPというものからは離れていってしまうと思うね。

ー今後HIP HOPが進化していくことは重要な課題だと思いますが、どういった形で進化していくことを望みますか?
HIP HOPでも、ことBREAKINGに関しては素晴らしい進化を遂げていると思うよ。問題はHIP HOP FREESTYLEの方だね。混乱をきたしていると思うよ。ポップやジャズ等を混同したスタイルがまかり通っている現状があるからね。「KEEP THE FOUNDATION」ってことさ!HIP HOPとしての正しい基礎を身につける事が大事なことだね。ジャズやバレエにも「基礎」があり、それが非常に重要であることと全く同じだよ。

ー「KRUMP」や「GETTING LIGHT」等、HIP HOPに近いニューダンスについてどう考えていますか?
それらが新しいスタイルであったとしても、それは「HIP HOPミュージックにインスパイアされてそれを身体で表現した」という事で言えば、70年代や80年代にやった事とDNAレベルで見たらそう変わりはない事だと思うんだ。ただ、そういった新しいスタイルが今後も継承されていくかどうかは、それらを創り出した人達がどれだけ大切に育てていくかに懸かっているだろうね。「ハーレムシェイク」は2000年くらいに大流行したけど、今もうやってるやつはいないしね。出ては消えて出ては消えてという「ニューダンス」が今までに幾つもあった訳だけど、一つ言えることはBREAKINGや「MOP TOP」が作り上げたHIP HOP FREESTYLEの「基礎」というものは20年後も存在しているという事だね。

ーそういった「ニューダンス」を作った若いダンサーがHIP HOPのヒストリーを学ぶ、といった事はなされているんでしょうか?
「GETTING LIGHT」のオリジネイターの人達は、俺のワークショップに来てHIP HOPの歴史を学んだり、「GETTING LIGHT」自体がハーレムのスタイルとブロンクスのスタイルのミックスだったりするので、そのルーツについてを彼らとディカッションもしたよ。「KRUMP」に関しては「TIGHT EYEZ」とディスカッションした事もあるしね。

ー日本に来ることも多いと思うのですが、日本の現状について思うことはありますか?
日本人は世界のどの国のダンサーよりも勤勉だと思うね。そもそも、HIP HOPカルチャーが一番最初にブロンクスを離れてアメリカ以外の国で紹介されたのは「日本」と「フランス」だったんだ。そういう意味でも日本の「HIP HOP」カルチャーの歴史は古いし、そのカルチャーが伝わってから今の日本のシーンを築き上げてきた素晴らしい「先生」達が多数存在するしね。それでも日本のシーンに足りない要素、それは「知識」だね。「HIP HOP」の認識という点で言うと、日本に於いてはアメリカの80年代のクラブカルチャーがHIP HOPの始まりだと思っている人が多いんだけど、70年代の事を知っている人は凄く少ないんだ。だから70年代に何が起きて、それがどういう風にして80年代に繋がって、そしてどういう流れで今に至っているのか…という事を俺が今やっている「Mr. Wiggles HIP HOP CAMP」やワークショップを通して広めようとしている所さ。

ーでは最後に、今後の目標について教えて下さい。
個人的活動に関しては「Mr. Wiggles HIP HOP CAMP」をこれからも続けていきたいね。しっかりとした時間を使って(約8時間)、惜しみなく自分が知っていることを教えることの出来るCAMPだから、今後も継続していきたいと考えているよ。全体的な目標としては、「HIP HOP」というものをただ「ダンス」としてとか、ただ「DJ」として、といった風に単独のカテゴリー毎で考えるのではなく、様々な要素が含まれる「アートフォーム」として全体が進化していく事ができればなと思うよ。例えばHIP HOPにまつわる「コンテスト」や「大会」って色々ある訳だけど、そこで「誰が勝ったか」みたいな事が重要なのではなく、HIP HOPというカルチャーを通して「みんなが一つになるというパワーがそこにある」という事が重要な事なんだ。だからそこで「優勝する」という事がゴールではなく、みんなが集まったという通過地点でしか無い。最終的にHIP HOPというのはカルチャーだから、HIP HOPを通してそのなかで生きるという意味を広めたいね。例えば、問題を抱えている人に対して「HIP HOP」というものを与えることで、ネガティブなものを発散できるようになったり、何も目標がない人に「HIP HOP」を与えることでその人に生きる目標が生まれたり、といった事が本当の意味で「HIP HOP」で繋がるということだから、そういった事がカルチャーとして広まっていくことが全体的な目標だね。

通訳: Yuka Boo

 

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